Sに固く決心した。彼の胸は愛情に燃え立って来た。そして、彼は、世界じゅうの誰にもまして愛している人が死の床に打ち臥《ふ》しているのを修道院に残して町へ出て、たとえしばらくでもその人を忘れることのできた自分を深く責めないではいられなかった。彼は長老の寝室へはいって行くと、そのままひざまずいて、眠れる人に向かって額が地につくほどのお辞儀をした。長老はほとんど聞き取れぬくらい穏かに呼吸しながら、静かに、身動きもせず眠っていた。その顔はあくまで平穏であった。
 長老が今朝ほど客を迎えた次の間へ引っ返すと、アリョーシャはただ長靴を脱いだだけで、ほとんど着換えもしないで、固い革張りの幅の狭い長椅子の上へ横になった。彼はもう久しいあいだ毎晩枕だけ持って来て、この椅子の上で寝ることに決めていた。今朝、父が大きな声でどなった例の蒲団は、もう長らく敷くのを忘れてしまっていた。彼はただ自分の法衣を脱いで、それを上掛けの代わりに体に掛けただけであった。しかし寝につく前に、彼はひざまずいて長いあいだ祈祷をした。その熱心な祈祷の中で彼が神に願ったのは、自分の惑いを解いてもらうことではなく、いつも神に対する賛美嘆称
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