ヘ本当に行ってしまった。アリョーシャは修道院をさして歩を進めた。『なんだって、なんだって、おれはさっぱりわからないんだ、兄さんはいったい何を言ってるんだろうな?』それが彼には奇態に感ぜられた。『そうだ、明日はぜひ兄さんに会って、問いただしてやろう、無理にでも問いただしてやるんだ、いったいあれは何を言っているんだか?』
彼は修道院を迂回《うかい》すると松林を抜けて、まっすぐに庵室へたどりついた。庵室へはこの刻限になると誰も入れないことになっていたが、彼にはすぐに扉をあけてくれた。長老の部屋へはいった時、彼の胸は打ち震えた。『何のために、何のために自分はここを出て行ったのだろう! また何のために長老は自分を「娑婆」へ送り出したのだろう? ここには静寂と霊気が溢《あふ》れているのに、かしこは擾乱《じょうらん》と暗黒の巷《ちまた》で、一歩そこへ足を踏み入れたが最後、混迷の中に行き暮れてしまわなければならぬ……』
庵室には新発意《しんぼち》のポルフィーリイとパイーシイ神父が居合わせたが、この神父は今日は終日、ほとんど一時間おきに、ゾシマ長老の容態を見にやって来たのである。アリョーシャは、長
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