。か今かと待ってましたのよ」と言う、すこし甘ったるいくらい優しい女の声が聞こえた。
と、帷《とば》りが上がって……ほかならぬ当のグルーシェンカが嫣然《えんぜん》と笑いこぼれながら、テーブルへ近づいて来た。アリョーシャは身内がぎくんと震えたように覚えた。彼の視線は女のほうにぴったり吸いつけられたまま、引き離すことができなかった。これがあの恐ろしい女なのだ、兄イワンが半時間前に『獣』だと口をすべらせた、あの女なのだ。しかも、今、彼の面前に立っているのは、一見、至極ありふれた、単純な一人の女――善良そうな愛くるしい女で、たとえ美人であるにしても、世間一般の美しい女に似たり寄ったりの『ありふれた』美人なのだ! 確かにこの女は美しいには違いない、非常にと言ってもいいほどの美人である――つまり、夢中になって男から愛されるようなロシア的な美貌の持ち主なのである。彼女は相当、背が高いほうであったが、カテリーナ・イワーノヴナよりは少し低かった(カテリーナ・イワーノヴナはずぬけて背の高いほうであった)、肉づきはよくて、動作がしなやかで静かで、その声のように甘ったるすぎるほどなよなよしていた。彼女はカテリ
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