たたきこわしてやろうと思ったのさ『そら、見ておれよ、これがおまえの聖像だ、そら、こうしてわしがはずすよ、おまえはこれを霊験いやちこなものだなどともったいながってるが、わしがそうら、こうして、おまえの眼の前で唾《つば》をひっかけてやるけれど、なんの罰なんか当たるもんか!』ところが、あれがこちらを見た時の形相といったら、どうも、今にもわしは取り殺されるのじゃないかと思ったよ、しかし、あれは飛び上がって手を打っただけで、急に両手で顔をおおったと思うと、ぶるぶる震えだして、床の上へぶっ倒れると、……そのまま、ぐったりくずおれてしまった……アリョーシャ、アリョーシャ! おまえどうしたんだ!」
 老人はびっくりして飛び上がった、アリョーシャは父が母親のことを話しだしたときから、だんだん顔色を変え始めたのである。顔は赤くなり、眼は輝き、唇はぴくぴく震えだした……酔っ払った老人はそれまでなんの気もつかずに、しきりに口角から泡を飛ばしていたが、この時、急にアリョーシャの身にはなはだ奇怪な事態が生じたのである。というのは、たった今父が話した『憑かれた女』の状態と全く同じものが、思いがけなく彼に現われたの
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