謔ュやって来おったので――そいつが不意に、何かのはずみで、わしの頬桁《ほおげた》を、それもあれの面前で、なぐりつけやがったのだ、すると、あの牝羊みたいな女が、この頬桁一件のために、このわしをひっぱたきかねないばかりのけんまくで食ってかかったのさ、『あなたは今ぶたれましたね、ぶたれましたね、あんな男に頬ぺたをぶたれるなんて! あなたはわたしをあの男に売り渡そうとしてらっしゃるのでしょう……ほんとに、よくも私の眼の前であなたをぶったものだ! もうもうけっして、二度とわたしのそばへ寄せつけやしない! さあすぐに追っ駆けて行って、あの男に決闘を申しこんでください』……そこでわしは、あれの心を静めるために、お寺へ連れて行って、坊さんがたに御祈祷《ごきとう》をしてもらったよ、しかし、アリョーシャ、神かけてわしはあの『憑かれた女』を侮辱したためしはないよ! いや、一度、たった一度きりある。それはまだ結婚したての、はじめての年だったが、そのころあれは、ひどく祈祷に凝《こ》っていて、聖母のお祭などにはことにやかましくて、その日にはわしまで自分の部屋から書斎へ追っぱらう始末なんだよ、そこでわしはあれの迷信
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