くって告げ口をせんし、内輪のあらを外へ持ち出すようなこともない、魚饅頭も手ぎわよく焼きおる、しかし、あんなやつなんぞ、ほんとにどうだってかまやせんわい、あんなやつのことをかれこれ言うがものはないよ」
「むろん、言うがものはありませんよ」
「ところで、あいつが一人腹の中で何か考えこんでおるというと……つまり、ロシアの百姓は一般にいうて、うんとぶんなぐってやらにゃならんのだ、わしはいつもそう言っておるんだよ、百姓なんてものは騙児《かたり》だから、同情してなんかやるには当たらん、今でもたまにぶんなぐる者がおるから、もったものだ、ロシアの土地は、白樺《しらかば》があればこそ、しっかりしてるんだ。森を切り払ってしまったら、ロシアの国もくずれてしまうのだ、わしは賢い人の味方をするなあ、われわれはひとかど利口ぶって百姓をぶつことをやめたけれど、百姓らは相変わらず自分で自分をぶっておる、それでいいのさ、人をのろわば穴二つ……いや、どう言ったらいいのかなあ……つまり、その、穴二つなんだ、全くロシアは豚小屋だよ、ほんとに、わしがどんなにロシアを憎んでおることだか……いや、ロシアをじゃない、このいろんな悪を
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