がそれをちゃんと知り抜いているということに悲劇が含まれているのだ。だが、人間がちょっぴり朗読めいた口をきいたからって、どうしたというのだ? おれは朗読をしていないだろうか? だが、おれは真剣なんだ、ほんとに真剣なんだよ。しかし、イワンのこととなると、あれが自然に対して、今ああいうのろいをいだいているのももっともなことだと思う。それにあれだけの頭脳《あたま》があるんだもの、なおさらだよ! だが、選ばれたのは誰なんだ? 何者なんだ? 選ばれたのはこの人非人だ、もう許婚の身でありながら、この町で、みんなに見られている中で、生来の放蕩を押えることのできないろくでなしだ――しかもそれを許嫁のいるところでやるんだ、許嫁のいるところで! こういうやくざなおれが選ばれて、イワンがしりぞけられたんだ。ところで、これはいったいなんのためなんだ? それは一人の処女が感謝のあまりに、自分で自分の運命と生涯とを手ごめにしようとしているからだ! 不合理な話だ! おれはこんな意味のことは一度だってイワンに話したことがないし、イワンのほうからももちろん、そんなことは一言半句だって、おれに匂《にお》わしたことはないのさ
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