いてくれた。もちろん、おれはすぐすべてのことを了解した。令嬢は、はいってくるなり、まともにおれの顔を見つめるのだ。暗色の眼はきっとして、むしろ大胆不遜《だいたんふそん》に光っていたが、しかし唇とそのまわりには、何かためらうような色がみえた。
『姉から聞いたのですが、もしわたくしが……こちらへ自分でいただきにまいりますれば、四千五百ルーブルのお金をくださいますそうですね、……わたくしまいりました……さあ、どうぞお金をくださいまし!……』それだけ言ったが、あとが続かず、息をつまらせて、びっくりしたように、声をとぎらせてしまった。口尻とそのまわりの筋肉がぴくぴく震えだした。おいアリョーシカ、聞いてるのか、それとも眠っているのかい?」
「ミーチャ、僕は兄さんが本当のことを残らずお話しなさることを知っています。」アリョーシャは心を波立たせながら答えた。
「その本当のことを話すよ、すっかり本当にありのまま話すとすれば、自分のことを棚へ上げたりはしないよ。まず初手に浮かんだ考えはカラマゾフ式なものだったよ。おれはある時、百足《むかで》にかまれて二週間ほど熱を出して寝こんだことがあった。ところが、その
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