が、あの人は君らをせせら笑ってるんだぜ、願ったりかなったりだ。おれはおまえたちの勘定で御馳走になりますってね」
「だが、どうして君はそんなことを知ってるの? どうしてそうきっぱりと言いきるの?」アリョーシャはこう鋭く、眉をひそめながら、不意に尋ねた。
「じゃあ、なぜ君は今そう言って尋ねながら、僕の返事を恐れてるんだい? つまり僕の言ったことが本当だってことを承認してるんじゃないか?」
「君はイワンが好きじゃないんだね。イワンは金なんかに迷ってやしないよ」
「そうかしら? しかしカテリーナ・イワーノヴナの美貌はどうだね? 金だけが間題じゃないんだよ。もっとも、六万ルーブルといえば、まんざら憎くもなかろうがね」
「イワンはもっと高いところに目をつけてるよ。イワンは何万あろうとも、金なんかに迷わされはしない。イワンは金や平安を求めてはいない。たぶん苦痛を求めてるんだろう」
「それはまたなんという夢だろう? ほんとに君たちは……お殿様だよ!」
「ううん、ミーシャ、兄の心は荒れてるんだよ。兄の頭は囚われているんだ。イワンの考えている考えは偉大だが、まだ解決がついてないのだ。イワンは幾百万の金より
前へ 次へ
全844ページ中228ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ドストエフスキー フィヨードル・ミハイロヴィチ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング