Nに知らせたんだ? 本当にこいつめ、はっきり言わんか?」
「すっかり白状しなければなりません」いやに子細らしく落ち着いてスメルジャコフは引っぱるような物の言い方をした。「実は、わたくしとフョードル・パーヴロヴィッチとのあいだに、一つ秘密があるのです、御承知でもございましょうが(たぶん御承知でございましょうね)、旦那はこの三、四日、夜になると、いえ、早い時には宵の口から、部屋の内側から扉に鍵をおろしておしまいになります、もっとも、あなたはこのごろでは、毎日早く、二階の居間へ引っこんでおしまいになりますし、昨日はまるでどこへもおいでになりませんでしたから、おおかた御存じないかもしれませんが、旦那はこのごろ夜になると、念入りに戸締まりをなさるのでございます、それでグリゴリイ・ワシーリエヴィッチが行っても、声が確かにそうだとわからないあいだは、けっして扉をおあけになりません、ところで、グリゴリイ・ワシーリエヴィッチはあんまり来ませんから、今のところお居間のお世話をするのは、わたくし一人でございます――これはアグラフェーナ・アレクサンドロヴナの悶着《もんちゃく》が始まって以来、旦那が御自身でお決めになった手はずです、しかし夜になると、わたくしは旦那の言いつけで、傍屋《はなれ》のほうへさがってやすみますが、それでも夜半ごろまでは寝ずに、ときどき起きては庭を見回って、アグラフェーナ・アレクサンドロヴナのおいでを待ち受けていなくてはなりません、なにしろ旦那はこの二、三日というもの、まるで気ちがいのように、あの女を待ちきっておいでなんですから、旦那のお考えでは、あの女はお兄さんを、ドミトリイ・フョードロヴィッチを(旦那はいつもミーチカとおっしゃってですが)こわがっているから、夜もよっぽど遅くなってから、裏道を通ってお見えになるに違いない。『だから貴様はかっきり十二時までは、いや、もっと遅くまで見張りをしろ、もし、彼女《あれ》がやって来たら、居間の戸口へ走って来てたたいてもよし、庭から窓をたたいてもよい、だが、はじめの二つはこんな風にゆっくりたたいて、それから今度は早い目に三つとんとんとんとたたくのだ。そうすれば、わしはすぐ彼女《あれ》が来たのだと思って、そっと扉をあけてやるわい』と、こうおっしゃるのでございます、それから、もしなんぞ変わったことが起こった時のために、もう一つ別の合い図
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