ゥ体が『神に通じ』またそれが神であるところの道、といったようないろんな数限りないことを信ずる。どうもこのことについては、いろんなことばがしこたまこしらえてあるね。ともかくも、僕はいい傾向に向かってるようだろ――ね? ところが、いいかね、僕は結局この神の世界を承認しないのだよ。この世界が存在するということは知っているけれど、それでいて断じてそれを認容することができないのだ。何も僕は神を承認しないと言ってるわけじゃないよ、いいかい。僕は神の創った世界、神の世界を承認しないんだ、どうしても承認するわけにはいかないんだ。ちょっと断っておくが、僕はまるで赤ん坊のように、こういうことを信じてるんだよ――いつかはこの苦しみも癒《い》えて跡形もなくなり、人間的予盾のいまいましい喜劇も、哀れな蜃気楼《しんきろう》として、弱々しく、まるで原子のように微細な人間のユウクリッド的知能のいとうべき造りごととして消え失せ、ついには世界の終局において、永久的調和の刹那《せつな》において、なんともたとえようのない高貴な現象があらわれて、それがすべての人々の胸に満ちわたり、すべての人々の憤懣《ふんまん》を柔らげ、すべての人の悪行や、彼らによって、流された血を贖《あがな》って、人間界に引き起こしたいっさいのことを単に許すばかりでなく、進んでそれを弁護するというんだ――まあ、すべてがそのとおりになるとしてもだね、それでも僕はこれを許容することができないんだ、いや許容しようとは思わないんだ! たとい平行線が一致して、それを自分の眼で見たとしても、自分で見て、『一致した』と言ったとしても、やはり許容しないよ。これが僕の本質なのさ、アリョーシャ、これが僕のテーゼなんだ。これだけはもう大まじめでおまえに打ち明けたんだよ。僕はこのおまえとの話を、わざとこのうえもないばかげた風に始めたけれど、とどのつまり告白というところまで漕ぎつけてしまったよ、だっておまえに必要なのはただそれだけなんだからな、おまえにとっては神様のことなんかどうだっていい、ただおまえの愛する兄貴が何によって生きているかということだけ知ればいいんだからね」
イワンは不意に思いもかけないある特別の情をこめて、この長口舌を終わった。
「どうして兄さんは『このうえもなくばかげた風に』なんか始めたんです?」と、アリョーシャは物思わしげに兄を見つめながら尋
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