ーナ・イワーノヴナのヒステリイは、あげくのはてには卒倒するに至って、やがて、『恐ろしいほど、ひどい衰弱に襲われましてね、あの人は床について眼をつりあげて、うわごとを始めなさいましてね。いま熱が出ましてね、ヘルツェンシュトゥベも迎えにやりましたし、二人の伯母さんも迎えにやりましたの。伯母さんたちはもういらっしってますけれど、ヘルツェンシュトゥベのほうはまだお見えになりません。みんなあの人の部屋に控えて、お待ちしていますの。何か起こるでしょうよ、なにしろ、あの人はもうまるで覚えがないんですからね。まあひどい熱病にでもなったら!』
こういううちにも、夫人はひどく驚いたような風をしていた。そして、『これはもうたいへんなことです、たいへんなことです!』と一言一句につけ加えていたが、まるで今までにあったことは何もかもたいへんなことなんかでなかったかのようであった。アリョーシャは心苦しそうに、夫人のことばを聞き終わった。今度は彼が自分のほうに起こった出来事を話しかかったが、夫人は暇がないからと言って、口を切りだしたかと思うとたちまちそれをさえぎってしまった。どうかリーズのところへ行って、そのそばで自分が来るのを待っていてくれと頼むのであった。
「アレクセイさん、リーズはね」と、夫人はほとんど耳もとに口をあてんばかりにしてささやいた、「リーズは今わたしを妙にびっくりさせましたの、ですけれど、喜ばしてもくれました。ですから、わたしはあれのことならなんでも許してやりますわ。まあ、どうでございましょう、あなたが出ていらっしゃるとすぐに、あの子は昨日も今日も、あなたをからかったとか言って、ひどく後悔しだしましてね。でもあの子は、からかったんじゃありませんわ、ただちょっと、ふざけただけですの。けれど、涙を流さんばかりに心から後悔するものですから、わたしびっくりしてしまいましたの。今までにあの子がわたしをからかったからって、一度もまじめに後悔したことなんかありません。いつも冗談なんでございます。あなたも知っていられるように、あの子ったらもう、しょっちゅうわたしをからかってばかりいるんですよ。ところが、今日はどうしたことかまじめなんですの。それこそ大まじめなんです。あの子はね、アレクセイさん、たいそうあなたの御意見を尊重しております。ですから、もしできることなら、あの子のことを腹を立てないでい
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