スしの申し上げたいと思うことを、どんな風にあなたにお話ししたらいいのでしょうね、紙は顔を赤らめないと申しますが、それは嘘ですわ、本当のことを申しますが紙まで今のわたしと同じように、まっかな顔をしているのですもの、おなつかしいアリョーシャ、わたしはあなたを愛しています、まだ子供の時分から――あなたが今とはまるで別人のようでいらして、モスクワ時代から愛していましたの、そして一生涯あなたを愛し続けていきますわ、わたしはあなたと一つになって、年とったら御いっしよにこの世を終わりたいと、自分の心の中であなたを選んだのでございます、けれど、必ずお寺を出てくださるという条件つきなのですよ、わたしたちの年のことでしたら、それは法律に定められた年になるまで待ちましょう、そのころまでには、わたしもきっと丈夫になって、一人で歩いたり、ダンスをしたりできるようになりますわ、そんなことは言うまでもないことでございます』
『わたしがどんなに考えたかおわかりになってくださるでしょう、けれど、ただ一つ、どうしても考えつかないことがございますの、それは、この手紙をお読みになる時、わたしのことをどんな風にお思いになるだろうかということです、わたしはいつも笑ったり、ふざけたりばかりしてるんですもの、今朝だってあなたをすっかり怒らしてしまいましたでしょう……けれど誓って申し上げますわ、わたし今ペンを取る前に聖母様の御像にお祈りをしましたのよ、そして今でもやっぱりお祈りをしていますの、ほんとにもう泣きださないばかりでございますわ』
『わたしの秘密はもうあなたのお手に握られてしまいましたわね、明日あなたがいらしてくださるとき、わたしどんな顔をしてお目にかかったらいいのかわかりませんわ、ああ、アレクセイ・フョードロヴィッチ、わたしがあなたのお顔を眺めているあいだに、また我慢ができなくなって、今朝とおんなじに、ばかみたいに笑いだしたりしたら、どういたしましょうね? きっと、あなたはわたしをいやなひやかしやだとお思いになって、この手紙だって本当にしてはくださらないかもしれませんわね、ですから、もしわたしを可哀そうだとお思いになったら、明日わたしのところへはいっていらっしゃるとき、お願いですからあまりまっすぐにわたしの顔を御覧にならないようにしてください、わたしの眼があなたのお眼に出会ったら、きっと笑いだすに違いない
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