て
「酒はおれたちで造るんでどっさりある。それに帽子はすじの入った総《ふさ》つきのでも女たちがこさえてくれる。」
と言いました。
そして誰一人兵隊になるものがありませんでした。
年よった悪魔はイワンのところへ帰って来て、言いました。
「どうも馬鹿共は、自分で進んでやろうとはしません。あれじゃいやでも入らせなくちゃなりませんでしょう。」
「いいとも、いいとも。やってみるがいい。」
とイワンは言いました。
そこで年よった悪魔は、人民たちはすべて兵隊に入らなくてはならない。これを拒むものはイワン王が死刑にしてしまわれるだろう、というおふれを出しました。
人民たちは将軍のところへやって来て、言いました。
「兵隊にならなければイワン王が死刑にしてしまうと言っているが、兵隊になったらどんなことをするのかまだ話を聞かせてもらわない。兵隊は殺されると聞いているがほんとかい。」
「うん、そりゃ時には殺される。」
これを聞いて人民たちはどうしてもきかなくなりました。
「じゃ、兵隊に行かないことにしよう。それよっか家《うち》で死んだ方がましだ。どうせ人間は死ぬもんだからな。」
と人民たちは言いまし
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