のしっぽ一つ見つけました。そしてライ麦の刈あとでも、一つの穴を見つけました。
「こりゃきっと仲間によくないことがあったにちがいない。」
と小悪魔は考えました。
「一つおれが代ってあの馬鹿を取っちめなくちゃならないぞ。」
そこで小悪魔は、イワンをさがしに出かけました。イワンはとうに麦のしまつをして、森で木を伐《き》っていました。二人の兄たちは、急に人数がふえて、狭苦しくなったので、新しい家《うち》をたててもらおうと思って、木を伐れとイワンに命《い》いつけたところでした。
小悪魔は森へ出かけて行って、木の枝へ這い上って叉に陣どって、イワンの仕事のじゃまをしはじめました。イワンは一本の木の根元を伐りました。ところが、木はバッサリ倒れるはずなのに、倒れぎわに急にまがりくねって、他の枝へ引っかかりました。そこでイワンは、それをこねはずすために、一本の木を伐って棒をつくると、やっとのことで地べたに倒すことが出来ました。イワンはまた他の木を伐り倒しにかかりました。するとまた、前と同じようなことが起りました。イワンは汗びしょになりました。そしてようやく倒すことが出来ました。イワンは三本目の木に取り
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