だというくらいの必然性が伴っていてこそ本当に制作というものが聞かずして会得《えとく》出来るものと思います。低級な雑誌の口絵を模写したり、人の足跡を追っているようでは寧ろ初めから出直したがいいと思います。しかして現代の婦人画家は模倣性が強くて少しも自己に資料を求めるというような真摯《しんし》な態度は少しもありません。それが絵のみならず雅号のようなものからしてそうなのであります。たとえば私が松園といえば、東京にも大阪にも園、園と沢山に似交《にかよ》った雅号の作家が出るような有様であります。たとえ雅号のようなものでもが自己本来の個有なものに目醒めて来なければなりません。(談)
底本:「青眉抄・青眉抄拾遺」講談社
1976(昭和51)年11月10日初版発行
1977(昭和52)年5月31日第2刷
初出:「藝苑 第一編第九号」
1920(大正9)年2月
入力:川山隆
校正:鈴木厚司
2008年5月17日作成
青空文庫作成ファイル:
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