雷同性に富む現代女流画家
上村松園
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)片暈《かたぼかし》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)相|容《い》れざる
−−
現時の画界は未だ根本の方針が定まっているということは出来ません。あたかも混沌の時代の感があります。何々式とか何々型とか随分雑多な流派が生まれては消え消えては生まれております。作家がこうも猫の眼玉のように筆法を変えていては、とても自己本来の内心に深く滲透した芸術を創り出すということは出来ません。誰かが片暈《かたぼかし》の手法を創めれば、即刻にこれを模倣して新しい絵を気取ろうとするは甚だ狭量なことであります。またこんな雷同的な作家を煽動している批評家もそうであります。新しい形式のみを讃めるということが強《あなが》ち自己の鑑識を高めるものではありません。唯に新しき批評家を以て、自称せんがために、純然たる自分の要求を裏切って、片暈やじじこましのようなものを讃めているのは自己を侮辱しているわけであります。
殊に女流作家の中には、自分で真剣に絵を描いているのか他から強いられて絵を描いているのか、さ
次へ
全5ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
上村 松園 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング