こういう細工物の産出額は相当大きな金額にのぼるのだそうで、だからここでは芦や葭を非常に大切にするのだということであった。金山寺はずいぶん大きな寺であった。相当遠いところではあったが、自動車で楽にみることが出来た。
 甘露寺へ行くと、石の段がずっと上まで続いている。石段の登り口のあたりにきたない民家がある。そこから四つぐらいから十までくらいのまずしい子供たちが出て来て、その石段をのぼるのに参詣者の腰を後から両手で押してくれるのであった。そして貰う駄賃がこの子供たちの収入になるのであった。その中にやはり貧しい子供には、昔の唐子をおもわせるような髪をしたのがいた。前のほうや、耳の上だけやに毛をのこして、あとはくりくりに剃って、残した毛を三つ組に編んだのや、つまんでしばったのや、いかにも昔の絵にある唐子のような風俗がこんな片田舎に却って残っているのを、不思議ななつかしみをもって眺めずにはいられなかった。
 私の腰を三人ほどの子が押してくれるけれども私はそんなに早く歩くことが出来ないので、子供たちから漫々的、漫々的、めんめんちょとからかわれるのであった。そしてそのなかにかあいらしい子供、唐子をお
前へ 次へ
全34ページ中17ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
上村 松園 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング