んと思って放りぱなして置いたが、疲労を覚えてどうにも弱り果てた時に思い切ってのんでみた。
ひりりっと山椒の実を口に入れたような味がした。
べつだん効くようにも感じないが、用いていれば疲れがあまり出ないところから推すと、やはり効いているものらしい。
九龍虫は呑めども呑めどもあとからあとからとネズミ算式に増えてくる。与えた食物の中へわいわい入り込んでそれを食い散らし、食い尽くしては子をふやしてゆく。
この虫が食べているものは、そのまま人間が摂っても効くものばかりである。
人参、椎の実、龍眼肉などというぜいたくなものばかり食っているのであるから効くのは当然である。
人間も良い本をたくさんよみ、修業をつんだ人は、それだけ良い内容を貯えているものである。
画家も心を培い良い絵をたくさんみて研究をはげめば、それだけ高いまなこが持てるのである。
底本:「青眉抄・青眉抄拾遺」講談社
1976(昭和51)年11月10日発行
入力:鈴木厚司
校正:小林繁雄
2004年5月8日作成
青空文庫作成ファイル:
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