って遊んでました。その遊びにつくうたは、
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※[#歌記号、1−3−28]ざとのぼーえ
 とさんさ、さかずきさしましょう
[#ここで字下げ終わり]
 というのです。昔は道筋はすべて子供の運動場でしたが、今の子供達はもう、うっかり外では遊べなくなりました。大通りから入った横丁でも自転車やら自動車やら何やと往来が劇《はげ》しゅうなるばかりなので、それだけは昔の子供の方が幸福だったということが出来るでしょう。

 ひといきは夏が好きでした。陽気で明るうてよろしのどすが、今ではあまり暑いと少々身にこたえて弱ります。
 なんといっても気がしまっていいのは十月頃、恰度、きんもくせいが匂うような頃は一番頭がすっきりして身も軽うなる心地がすることです。(談)



底本:「青眉抄・青眉抄拾遺」講談社
   1976(昭和51)年11月10日初版発行
   1977(昭和52)年5月31日第2刷
初出:「塔影」
   1939(昭和14)年8月号
入力:川山隆
校正:鈴木厚司
2008年10月23日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(htt
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