て来るお弓の結っている髪なのですが、そんな風な髪に銀で作ったすすき[#「すすき」に傍点]のかんざしやら、びいどろの中に水が入ってる涼しいのなどを※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]したりしてぐるぐるぐるぐる町内を練り歩いたものでした。何せその頃は明治もはじめの頃ですよって自動車だのバスだののややこしいものも通らしまへんよって、町の真中をずっと[#「ずっと」は底本では「ずつと」]長く連なって歌って歩けたのでございました。
 男の子は男の子で、
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※[#歌記号、1−3−28]よいさっさにゆきましょか
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 と、女の子よりはちょっと大きめの提灯の、これは白いのに同じように定紋つけたのを手に手に持ちながら、
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※[#歌記号、1−3−28]よいさっさ、よいさっさ
 江戸から京まではえらいね
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 そんな風にうたって男の子同志で町内を練り歩いたものでした。
 その頃にはまた、おしろんぼ[#「おしろんぼ」に傍点]などという遊びもありまして、これも町内で子供達が自由勝手にはねまわ
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