美人を、二尺五寸に五尺の大きさに描いたものでした。これが当時我が国に御来遊中であった英国の皇子コンノート殿下のお目に止まり、お買上げの栄に浴しました。その時、京都の日の出新聞に出た記事が、最近の紙上に再録されておりましたので、面白く思い、切り抜いておきました。何でも十五歳の少女の画が一等褒状、その上英国皇子お買上げの栄に浴したと大分もてはやしてありました。今ちょっと見当たらず、お目にかけることはできませんが。
かくして、私の絵筆の生涯の幕が開かれたのでございますが、別に一生絵で立とうと考えてはおりませんでした。けれど私の画業は、次のように進んでおりました。
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明治二十四年 東京美術協会「和美人」一等褒状
同年 全国絵画共進会「美人観月」一等褒状
同 二十五年 京都春期絵画展覧会「美人納涼」一等褒状
同年 米国シカゴ博出品(農商務省下命画)「四季美人」二等賞
同 二十六年 東京美術協会「美人合奏」三等銅牌
同 二十七年 東京美術協会「美人巻簾」二等褒状
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本当に、絵で一生立とうと考えたのはこの後で、二十歳か、二十一歳の時で
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