「草紙洗」を描いて
上村松園
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)草紙洗《そうしあらい》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)随分|根《こん》を
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「兵」の「丘」に代えて「白」、第3水準1−14−51]
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○
わたくしの夢幻の国、思慕の華、それはつねにこの世の芸術の極致の境にひろがっている能楽です。わたくしは能楽をこそ人間界における芸術への一と筋辿るべき微妙な路だと思っています。
わたくしがこんどの文展に出品したのは能楽にある小町の“草紙洗《そうしあらい》”ですが、しかしこれは能楽そのものをそのままに取ったのではありません。小町の描出を普通の人物に扱ったものですから、画面の小町は壺織の裲襠《うちかけ》に緋の大口を穿《うが》っているのは、能楽同様な気持ですけれども、その顔には面《おもて》を着けてはおりません。ですが、面※[#「兵」の「丘」に代えて「白」、第3水準1−14−51]《
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