、限度。
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一、「朝の歌留多《かるた》。」
  (昭和いろは歌留多。「日本イソップ集」の様な小説。)
一、「猶太《ゆだ》の王。」
  (キリスト伝。)
[#ここで字下げ終わり]
 右の二作、プランまとまっていますから、ゆっくり書いてゆくつもりです。他の雑文は、たいてい断るつもりです。
 その他、来春、長編小説三部曲、「虚構の彷徨。」S氏の序文、I氏の装幀にて、出版。(試案は、所詮、笹の葉の霜。)

 この日、午後一時半、退院。

[#ここから4字下げ、ゴシック体]
汝《なんじ》らの仇を愛し、汝らを責むる者のために祈れ。天にいます汝らの父の子とならん為なり。天の父はその陽を悪しき者のうえにも、善き者のうえにも昇らせ、雨を正しき者にも、正しからぬ者にも降らせ給うなり。なんじら己を愛する者を愛すとも何の報をか得べき、取税人も然《しか》するにあらずや。兄弟にのみ挨拶すとも何の勝ることかある、異邦人も然するにあらずや。然らば汝らの天の父の全きが如く、汝らもまた、全かれ。
[#ここで字下げ終わり]
 
 
 
底本:「太宰治全集2」ちくま文庫、筑摩書房
 
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