て、ふたりの姿はどこにも見えない。
その翌る日に、山を下りた。まづ、甲府の安宿に一泊して、そのあくる朝、安宿の廊下の汚い欄干によりかかり、富士を見ると、甲府の富士は、山々のうしろから、三分の一ほど顔を出してゐる。酸漿《ほほづき》に似てゐた。
[#地付き](昭和十四年二月―三月)
底本:「筑摩現代文学大系 59 太宰治集」筑摩書房
1975(昭和50)年9月
入力:網迫
校正:割子田数哉
1999年1月9日公開
2005年10月27日修正
青空文庫作成ファイル:
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