美男子と煙草
太宰治
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)独《ひと》り
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)東京駅|迄《まで》行き、
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)今さら[#「今さら」に傍点]頼む事も出来ません。
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私は、独《ひと》りで、きょうまでたたかって来たつもりですが、何だかどうにも負けそうで、心細くてたまらなくなりました。けれども、まさか、いままで軽蔑《けいべつ》しつづけて来た者たちに、どうか仲間にいれて下さい、私が悪うございました、と今さら[#「今さら」に傍点]頼む事も出来ません。私は、やっぱり独りで、下等な酒など飲みながら、私のたたかいを、たたかい続けるよりほか無いんです。
私のたたかい。それは、一言[#「一言」は底本では「一事」]で言えば、古いもの[#「古いもの」に傍点]とのたたかいでした。ありきたりの気取りに対するたたかいです。見えすいたお体裁《ていさい》に対するたたかいです。ケチくさい事、ケチくさい者へのたたかいです。
私は、エホバにだって誓って言えます。私は、そのたたかいの為に、
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