よつと首肯いたきりだつた。わが家の流儀である。いや、津軽の流儀と言つていいかも知れない。私は慣れてゐるので平気でお膳について、光ちやんと嫂のお酌で、黙つてお酒を飲んでゐた。お婿さんは、床柱をうしろにして坐つて、もうだいぶお顔が赤くなつてゐる。兄たちも、昔はお酒に強かつたやうだが、このごろは、めつきり弱くなつたやうで、さ、どうぞ、もうひとつ、いいえ、いけません、そちらさんこそ、どうぞ、などと上品にお互ひゆづり合つてゐる。外ヶ浜で荒つぽく飲んで来た私には、まるで竜宮か何か別天地のやうで、兄たちと私の生活の雰囲気の差異に今更のごとく愕然とし、緊張した。
「蟹は、どうしませう。あとで?」と嫂は小声で私に言つた。私は蟹田の蟹を少しお土産に持つて来たのだ。
「さあ。」蟹といふものは、どうも野趣がありすぎて上品のお膳をいやしくする傾きがあるので私はちよつと躊躇した。嫂も同じ気持だつたのかも知れない。
「蟹?」と長兄は聞きとがめて、「かまひませんよ。持つて来なさい。ナプキンも一緒に。」
 今夜は、長兄もお婿さんがゐるせゐか、機嫌がいいやうだ。
 蟹が出た。
「おあがり、なさいませんか。」と長兄はお婿さ
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