分に好都合な事になり、やがて自分が自殺|幇助《ほうじょ》罪という罪名で病院から警察に連れて行かれましたが、警察では、自分を病人あつかいにしてくれて、特に保護室に収容しました。
 深夜、保護室の隣りの宿直室で、寝ずの番をしていた年寄りのお巡《まわ》りが、間のドアをそっとあけ、
「おい!」
 と自分に声をかけ、
「寒いだろう。こっちへ来て、あたれ」
 と言いました。
 自分は、わざとしおしおと宿直室にはいって行き、椅子に腰かけて火鉢にあたりました。
「やはり、死んだ女が恋いしいだろう」
「はい」
 ことさらに、消え入るような細い声で返事しました。
「そこが、やはり人情というものだ」
 彼は次第に、大きく構えて来ました。
「はじめ、女と関係を結んだのは、どこだ」
 ほとんど裁判官の如く、もったいぶって尋ねるのでした。彼は、自分を子供とあなどり、秋の夜のつれづれに、あたかも彼自身が取調べの主任でもあるかのように装い、自分から猥談《わいだん》めいた述懐を引き出そうという魂胆のようでした。自分は素早くそれを察し、噴き出したいのを怺《こら》えるのに骨を折りました。そんなお巡りの「非公式な訊問」には、
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