ました。どうにも仕様が無くなれば、あなたに何もかも打ち明けて、おゆるしを願い、今後の事も相談しようと思っていました。あなたは、きっと僕たちの事を、ゆるして下さるだろうと、なぜだか、そんな気がしていたのです。さっき、あなたに呼びとめられ、ひやっとしました。来たな、と思いました。ちょうどよい機会だ、こちらから全部、打ち明けてやろうと覚悟して、あなたの顔を見ると真蒼《まっさお》で、ひどく取乱して居られる様子なので、急にいやになり、逃げようとしたら、あなたが僕の腕をつかんで辞表を出したのなんのと、大変な事を言うので僕は、他にも何か事件が起きたのかしらんと思い、あなたに尋ねたら、あなたは城中の噂、とおっしゃったので、ああ、あれか、と早合_してしまったわけなのです。決して、故意にはぐらかしたのではありません。僕は卑怯な男ではないのです。」
 ポロ。「御弁舌さわやかでございます。なかなか、たくみに言いのがれをなさる。けれども、ポローニヤスは、もう、だまされません。何も、今さらそんなにクローヂヤスさまや、王妃さまの事を、出し抜けに問題になさる必要が無いじゃありませんか。あなたは、それを、てれ隠しの道具
前へ 次へ
全200ページ中91ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
太宰 治 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング