をそんなにこわい顔をして怒っているのです。失敬ですよ。」
ポロ。「見上げたものです。涙も出ません。これが、わしの二十年間、手塩にかけてお育て申したお子さまか。ハムレットさま、ポローニヤスは夢のようです。」
ハム。「困りますね。ポローニヤスも、おとしをとられたようですね。往年の智慧者《ちえしゃ》も、僕の乱心などを信じるようじゃ、おしまいだ。」
ポロ。「乱心? そうです、あなたは、たしかに気が狂って居られる。むかしのハムレットさまは、なんぼなんでも、これほどじゃなかった。」
ハム。「寄ってたかって、僕を本物の気違いにしようとしている。それではポローニヤス、あなた迄が、あの噂を本当に全部、信じているのですね?」
ポロ。「信じるも何も。いまさら、何をおっしゃる。もういい加減に、そんな卑怯《ひきょう》な言いかたは、およしなさい。」
ハム。「卑怯だと? 何が卑怯だ。僕は、どうして卑怯なのだ。あなたこそ失敬至極じゃないか。僕にはあなたに、おわびしなければならぬ事もあるのだし、これまでずいぶん、あなたには遠慮して来た。いまだって、殴りつけてもやりたい気持を何度も抑えて、あなたと話している
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