それあ、いろいろ人は言うだろう。なんにしても、こんどは少し、まずかったからね。でも、あれは、もちろん叔父さんひとりできめた訳じゃ無いんだ。そんな事は出来るもんじゃない。ポローニヤスをはじめ、群臣の評定に依《よ》って取りきめられた事なんだ。僕だって今すぐ、位に即《つ》けるほどの男じゃない。いま、デンマークは、むずかしい時らしいからね。ノーウエーとも、いつ戦争が起るか、わかったものじゃない。僕には、まだ自信が無いんだ。叔父さんが位に即いてくれて、僕はかえって気楽になった。本当だよ。僕は、もう暫《しばら》く君たちと自由に冗談を言い合って遊んでいたいよ。なんでもないんだ。もともと、叔父と、甥《おい》の仲じゃないか。一ばん近い肉親だ。それあ僕は、叔父さんには何かと我がままを言うよ。いやがらせを言ってやる事もある。軽蔑《けいべつ》してやる事もある。わざとすねて、ろくに返事もしてやらない時だって、ずいぶんある。でも、それは叔父と甥の間の事だ。僕は、甘えているのかも知れない。でも、それくらいの事は、叔父さんだってわかってくれていると思うんだ。僕は、やっぱり叔父さんを、たよりにしているところもあるんだか
前へ 次へ
全200ページ中55ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
太宰 治 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング