頼しているのだよ。」
 オフ。「さようなら。兄さんもお元気で。」
 レヤ。「ありがとう。留守中は、よろしく頼むよ。なんだか心配だな。そうだ、一つ、神さまの前で兄さんに誓言してくれ。どうも、気がかりだ。」
 オフ。「兄さん、まだお疑いになるの?」
 レヤ。「いや、そんなわけじゃないけど。じゃ、まあ、いいや。大丈夫だね? 安心していいね? 僕は、こんな問題には、あまり、しつこく口出ししたくないんだ。兄として、みっともない事だからね。」

 ポローニヤス。レヤチーズ。オフィリヤ。

 ポロ。「なんだ、まだこんなところにいたのか。さっき、いとま乞《ご》いに来たから、もうとっくに出発したものとばかり思っていた。さあ、さあ出発。おっと待て、待て。わかれるに当って、もう一度、遊学の心得を申し聞かせよう。」
 レヤ。「ああ、それは、すでに三度、いや、たしかに四回うかがいましたけど。」
 ポロ。「何度だっていい。十度くりかえしても不足でない。いいか、まず第一に、学校の成績を気にかけるな。学友が五十人あったら、その中で四十番くらいの成績が最もよろしい。間違っても、一番になろうなどと思うな。ポローニヤスの子
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