しょう》せられるくらいが落ちさ。人に悪口を言われても、その人の敵意には気が附かず、みんな僕の為を思って、言いにくい悪口でも無理に言ってくれるのだ、ありがたい、この御厚情には、いつの日かお報いせずんばあるべからずと、心の中の手帳にその人の名を恩人として明記して置くという始末なのだ。人から軽蔑《けいべつ》せられても、かえってそれを敬意か愛情と勘違い恐悦がったりして五、六年|経《た》って一夜ふっとその軽蔑だった事に気附いて、畜生! と思うのだが、いや、実に、めでたい! かと思うとその反面に、打算の強いところもあって、友人達に優しくしてやって心の隅《すみ》では、かならずひそかに、情《なさけ》は人のためならず等と考えているんだから、やりきれない男さ。底の知れない馬鹿とは、僕の事だ。どだい僕には、どんな人が偉いんだか、どんな人が悪いんだかその区別さえ、はっきりしない。淋しい顔をしている人が、なんだか偉そうに見えて仕様が無い。ああ、可哀想《かわいそう》だ。人間が可哀想だ。僕も、ホレーショーも可哀想。ポローニヤスも、オフィリヤも、叔父さんもお母さんも、みんな、みんな可哀想だ。僕には、昔から、軽蔑感も憎
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