被《かぶ》り有頂天になるような事はございません。たとい御身分が王子さまであっても、むやみに御胸におすがりするような事は致しません。ハムレットさまは、此の世で一ばんお情の深いおかたです。お情が深いから、御自分を、もてあましてしまって、お心もお言葉も乱れるのです。きっとそうです。王妃さまだって、ハムレットさまのいいところは、ちゃんとご存じの癖に。」
 王妃。「何が何やら、あなた達の言う事は、まるで筋道《すじみち》がとおっていません。私を慕っているからハムレットをも好きになった等とへんな理窟を言うかと思うと、こんどは、ひどくハムレットの悪口をおっしゃって、すぐにまたその口の下から、ハムレット程いいひとは世の中にはいない、神の御子だ、なんて浅間しい勿体《もったい》ない事をおっしゃる。私のようなお婆さんをつかまえて、素晴らしい魅力があるのなんのと、馬鹿らしい事を口走るかと思えば、いいえ、ちっとも夢中になっていない、もう諦《あきら》めている等と殊勝な事をおっしゃる。いったい、どこを、どう聞けばいいのか、私は困ってしまいます。あなたも、ハムレットの影響を受けたのでしょう。第一の高弟《こうてい》とでも
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