に言う人を、私は好きです。」
 オフ。「いいえ、王妃さま。あたしは、きのう迄、嘘《うそ》ばかりついていましたの。ひとをだますという事ほど、くるしい、つらい地獄はございませぬ。でも、もう嘘をつく必要は無くなりました。みんなに知られてしまいました。からだの具合も、さいわい今朝から、こんなにすっきりして来ましたし、もうこれからは、いじけずに、昔のとおりにお転婆《てんば》なオフィリヤになるのです。本当に、此《こ》の二箇月、毎日毎日、意外な事ばかり続いて、ゆめのようでございます。」
 王妃。「なに、ゆめのような思いは、あなたばかりではありません。誰もかれも、此の二箇月間は、おそろしい夢を見ているような気持でした。先王がおいでなされた頃の平和は、いま考えると、まるで嘘のような気さえ致《いた》します。あんなに、お城の中も、またデンマークの国も、希望に満ちて一日一日を送り迎えしていたような時代は、もう二度と帰って来る事はありますまい。誰が、どうわるいというのでも無いのに、すっかり陰気に濁ってしまって、溜息と、意地悪い囁《ささや》きだけが、エルシノアの城にも、またデンマークの国中にも満ち満ちているような
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