を経ても、なお、正団員としての資格を認めがたき者は除名する。志望者は六月十五日までに、自筆の履歴書、戸籍抄本、写真は手札型近影一葉(上半身正面向)ならびに戸主または保護者の許可証、相添えて事務所まで御送附の事。試験その他の事項に就いては追って御通知する。六月二十日深夜までにその御通知の無之《これなき》場合は、断念せられたし。その他、個々の問合せには応じ難《がた》い。云々《うんぬん》。
原文は、まさか、これほど堅苦しい文章でもないのだが、でも、だいたいこんな雰囲気の手紙なのだ。実にこまかいところまで、ハッキリ書いている。少しの華やかさもないが、その代り、非常に厳粛なものが感ぜられた。読んでいるうちに、坐り直したいような気がして来た。鴎座《かもめざ》の時には、ただもうわくわくして、空騒《からさわ》ぎをしたものだが、こんどは、もう冗談ではない。沈鬱《ちんうつ》な気さえするのである。ああもう僕も、いよいよ役者|稼業《かぎょう》に乗り出すのか、と思ったら、ほろりとした。
三名採用。その中にはいる事が出来るかどうか、まるっきり見当もつかないけれど、とにかくやって見よう。兄さんも、今夜は緊張して
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