等《これら》の参考書を九日までに一とおり読んでみるつもりだ。それから、英語と仏蘭西《フランス》語の単語も、少し詰め込んで置きたい。
 しっかりやらなければならぬ。今夜は、これから、コクランの「俳優芸術論」と、斎藤氏の「芝居街道五十年」を読破するつもりである。
 あしたは、写真屋へ行かなければならぬ。


 五月八日。月曜日。
 雨。きょうは学校を休んだ。何が何やら、さっぱりわからなくなって、この貴重な一週間を、いったいどうして過したのか、学校へ行っても、そわそわして、何でもないのに、にやにや笑ったり、家に帰っては、やたらに部屋の整頓《せいとん》ばかりして、そうして、参考書は一冊も読まなかった。ただ、部屋の中で、うごめいているのである。気持は、刻一刻と狼狽《ろうばい》し、こうして日記を書いていても、手が震えるのである。つまり、あの、緊張したような、胆《きも》を失ったような、厳粛なような、からっぽのような、それでいて、絶えずはらはらして、絶間《たえま》なくお便所へ行っては、よしやろう、勉強しようと、武者ぶるいして部屋へ帰って、また部屋の整頓である。ゆるしてもらえないだろうか。だめなのである
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