外であるのみならず、秋田さんに対しても一寸《ちょっと》責任を感じますので、貴下だけの御含みにして置いて頂きたいと思います。然し私は話の次手《ついで》にお得意先の二、三の作家へ、ただまんぜんと、太宰さんのが一ばん評判がよかったのだそうですね位のことはいうかも分りません。そうして、かかることについても、作家の人物|月旦《げったん》やめよ、という貴下の御|叱正《しっせい》の内意がよく分るのですけれども私には言いぶんがあるのです。まだ、まだ、言いたいことがあると申し上げる所以《ゆえん》なのです。いずれ書きます。どうぞからだを大事にして下さい。不文、意をつくしませぬが、御判読下さいまし。十一月二十八日深夜二時。十五歳八歳当歳の寝息を左右に聞きながら蒲団の中、腹這いのままの無礼を謝しつつ。田所|美徳《よしのり》。太宰治様。」
「拝啓。歴史文学所載の貴文愉快に拝読いたしました。上田など小生一高時代からの友人ですが、人間的に実にイヤな奴です。而《しか》るに吉田潔なるものが何か十一月号で上田などの肩を持ってぶすぶすいってるようですが、若し宜しいようでしたら、匿名《とくめい》でも結構ですから、何かアレにつ
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