、三十歳で売れるようになって、それから、家の財産すこしわけてもらって、それから田舎《いなか》の約束している近眼のひとと結婚します。さきに男の児、それから女の児、それから男、男、男、女。という順序で子供をつくり、四男が風邪《かぜ》のこじれから肺炎おこして、五歳で死んで、それからすっかり老《お》いこんで、それでも、年に二篇ずつ、しっかりした小説かいて、五十三歳で死にます。私の父も、五十三歳で死んで、みんなが父をほめていました。ちょうどいい年ごろなのでしょう。まえまえからお話あった『英雄文学』よりの御註文の小説、完成、雑誌社へお送り申しました由、いまからその作品の期待で、胸がふくれる。きっと傑作でございましょう。」
「前略。小説完成の由。大慶なり。破れるほどの喝采《かっさい》にて、またもわれら同業者の生活をおびやかす下心と見受けたり。おめでとう。『英雄文学』社のほうへ送った由、も少し稿料よろしきほうへ送ったらよかったろうに。でも、まあ、大みそか、お正月、百円くらい損してもいいから、一日もはやく現なま掴みたい心理、これは、私たちマゲモノ作家も、君たち、純文学者も変りない様子。よい初春が来るよう
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