んからの御報告に依《よ》れば、お酒も、たばこも止したそうで、お察しいたします。そのかわり、バナナを一日に二十本ずつ、妻楊枝《つまようじ》、日に三十本は確実、尖端をしゅろの葉のごとくちぢに噛みくだいて、所かまわず吐きちらしてあるいて居られる由、また、さしたる用事もなきに、床より抜け出て、うろついてあるいて、電燈の笠《かさ》に頭をぶっつけ、三つもこわせし由、すべて承り、奥さんの一難去ってまた一難の御嘆息も、さこそと思いますが、太宰ひとりがわるいのじゃない。みんながよってたかって、もの笑いのたねにしてしまって、ぼくは、それについて、二、三人の人物に、殺すともゆるしがたき憤怒《ふんぬ》をおぼえる。太宰、恥じるところなし。顔をあげて歩けよ。クロ。」
「太宰様、その後、とんとごぶさた。文名、日、一日と御隆盛、要《い》らぬお世辞と言われても、少々くらいの御|叱正《しっせい》には、おどろきませぬ。さきごろは又、『めくら草紙』圧倒的にて、私、『もの思う葦《あし》』を毎月拝読いたし、厳格の修養の資とさせていただいて居ります。すこしずつ危げなく着々と出世して行くお若い人たちのうしろすがたお見送りたてまつるこ
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