ないみたいに考へてゐるのだ。私も、京都へはじめて行つた時には、ずいぶんまごついた。くやし泣きに泣いた事もある。けれども私の生来の軽薄な見栄坊の血が、京の水によく合ふと見えて、いまではもう、結局自分の落ちつくところは京都ではなからうかと思ふやうにさへなつてゐる。私は山師だ。山師は絶対に田舎では生きて行けない。また田舎の人も、山師を決して許さない。田舎の人は冗談も何も無く、けちくさくて、ただ固い。けれども、あれはまた、あれでいいのだ。ただ黙つて田舎に住んでゐる人の中に、本当の偉い人間といふものが見つかるやうな気もする。いけないのは、田舎者のくせに、都の人と風流を競ひ、奇妙に上品がつてゐる奴と、それから私のやうに、田舎へ落ちて来た山師だ。私は、まさか陳和卿のやうに将軍家の前でわあわあ泣きはしないけれども、どうしてだか、つい卑屈なあいそ笑ひなどしてしまつて、自分で自分がいやになつていやになつてたまらない、いけない、いけない。このままぢやいけない。死ぬんだ。私は、死ぬんだ。」別の蟹の甲羅をむいて、むしやむしや食べて、「叔父上は私の山師を見抜いてゐる。陳和卿と同類くらゐに考へてゐる。私は、きらはれ
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