。けれども右大将家は、やつぱり偉い。京都の人から馬鹿にされようがどうされようが、ちつとも気にしてはゐないんだ。関東の長者の実力を信じて落ちついてゐたんだ。ところが、失礼ですけれども、当将軍家は、さうではないのです。とても平気で居られない。田舎者と言はれるのが死ぬよりつらいらしいので、困つた事になるのです。野暮な者ほど華奢で繊細なものにあこがれる傾きがあるやうだが、あの人の御日常を拝見するに、ただ、都の人から笑はれまいための努力だけ、それだけなんだ。あの人には京都がこはくて仕様がないんだ。まぶしすぎるんだ。京都へ行つても、京都の人に笑はれないくらゐのものになつてから、京都へ行きたいと念じてゐるのだ。それに違ひないのだ。やたらに官位の昇進をお望みになるのも、それだ。京都の人に、いやしめられたくないのだ。大いにもつたいをつけてから、京都へ行きたいのだらうが、そんな努力は、だめだめ。みんな、だめ。せいぜい、まあ、田舎公卿、とでもいふやうな猿に冠を着けさせた珍妙な姿のお公卿が出来上るだけだ。田舎者のくせに、都の人の身振りを真似るくらゐ浅間しく滑稽なものは無いのだ。都の人は、そんな者をまるで人間で
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