かだ。ばかも、ばかも、大ばかだ。君には、お礼を言ふ。よく知らせて呉れた。」数枝は、不吉な予感に、気が遠くなりさうだつた。「僕は、さちよを愛してゐる。愛して、愛して、愛してゐる。誰よりも高く愛してゐる。忘れたことが、なかつた。あのひとの苦しさは、僕が一ばん知つてゐる。なにもかも知つてゐる。あのひとは、いいひとだ。あのひとを腐らせては、いけない。ばかだ、ばかだ。ひとのめかけになるなんて。ばかだ。死ね! 僕が殺してやる。」
[#地から2字上げ]「火の鳥未完」
底本:「太宰治全集第二巻」筑摩書房
1989(平成元)年8月25日初版第1刷発行
初出:「愛と美について」竹村書房
1939(昭和14)年5月20日
入力:西田
校正:山本奈津恵
2000年5月3日公開
2007年2月20日修正
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