ンでしょう?」と、つまらぬ洒落《しゃれ》を言い、それでも、ほめられて悪い気はしないらしく、ちょっと得意げな、もっともらしい顔つきになり、「通訳となると、やはり責任がね、重くなりますから、僕は、それはごめんこうむって筆談にしようと思っているんですよ。どうも僕は英語の知識をひけらかしすぎたので、或いは、通訳として引っぱり出されるかも知れないんです。いまさら逃げかくれも出来ず、やっかいな事になっちゃいましたよ。」と、いやにシンミリした口調で言って、わざとらしい小さい溜息《ためいき》を吐《つ》いた。
 人に依っていろいろな心配もあるものだと僕は感心した。
 嵐のせいであろうか、或いは、貧しいともしびのせいであろうか、その夜は私たち同室の者四人が、越後獅子の蝋燭の火を中心にして集り、久し振りで打解けた話を交した。
「自由主義者ってのは、あれは、いったい何ですかね?」と、かっぽれは如何《いか》なる理由からか、ひどく声をひそめて尋ねる。
「フランスでは、」と固パンは英語のほうでこりたからであろうか、こんどはフランスの方面の知識を披露する。「リベルタンってやつがあって、これがまあ自由思想を謳歌《おうか
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