ふとん》を頭からかぶってひとりでめそめそ泣き出すに到《いた》ったのだというのである。このニュウスはもうその翌朝、早くも道場全体にひろがり、無理もないと言う者もあり、けしからぬという者もあり、わけがわからんと言う者もあり、とにかくみんな大笑いであった。キントトさんは、からかわれても、にこりともせず、首を振って、まだ胸がどきどきすると言っている。
それと、もうひとり、同室の固パンさんが、このごろひどく浮かぬ顔をしている。何か煩悶《はんもん》の様子に見受けられたが、果して彼にもまた一種奇妙な苦労があったのである。
いったいこの固パンという人物は、秘密主義というのか、もったい振っているというのか、僕たちをてんで相手にせず、いつまでも他人行儀で、はなはだ気づまりな存在であったが、おとといの夜、あのような嵐で、七時少し過ぎた頃《ころ》から停電になって、そのために夜の摩擦も無かったし、また拡声機も停電のため休みになって、夜の報道も聞かれなかったから、塾生たちは、みんな早寝という事になったのである。けれども、風の音がひどいので、誰も眠られず、かっぽれは小声で歌をうたうし、越後獅子《えちごじし》は、
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