ます。とかげもいれば、いま言った毛虫もいます。こおろぎも駆けつけて来ました。かたわらには年寄りの栗毛までがたたずんで、ねずみ色の耳毛が中から勢いよくはえている大きな片耳を、一座の方へそばだてながら、連中の演説をじっと聞いておりました。その背中には、はえが二匹とまっておりました。
さて一座の面々は、言葉こそ鄭重ではありましたが、それでもかなり活気のある議論を戦わしておりました。かつまた、こうした場合のご多聞に漏れず、だれ一人として相手の意見に賛成するものはありませんでした。てんでに自分たち独特の考え方や気質によって、勝手な熱をあげていたからであります。
「私に言わせると」と、くそ虫が申しました、「いやしくも道をわきまえた動物は、まず何よりも子孫のことに思いをいたすべきです。生活は来たるべき世代のための労働なのである。こうした自覚をいだいて、大自然がおのれに課し与えた義務を果たそうとする者こそ、確乎《かっこ》たる地盤のうえに立つ者と言うべきであります。けだし彼はおのれの分《ぶん》を知るがゆえに、たとえ何事が起ころうと、彼は責任を問わるべきではないからであります。この私をご覧なさい、私ほど
前へ
次へ
全13ページ中4ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ガールシン フセヴォロド・ミハイロヴィチ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング