とかお言いだが、この先まだどんな生活があるのかね?」と、栗毛の馬がたずねました。
「まあおじさん、あんたは知らないの、私が一ぺん死んで、だんだらのきれいな羽をした蝶々になって生まれ変わることをさ?」
 栗毛もとかげもまたかたつむりも、そうとは知らずにいたのですが、昆虫たちはどうにか知ってだけはおりました。そこで一座の話はしばらくとだえました。だれ一人として、未来の生活について条理《すじみち》の立った文句の言える者がなかったからでありました。
「確乎たる信念には、よろしく敬意を払うべきですな」――やがてこおろぎが、コロコロ申しました、「まだ何かおっしゃりたい方はありませんか? あなた一ついかがです?」と、こおろぎが二匹のはえに向かって申しましたので、年上の方がこう答えました。
「私どもは、べつに不仕合わせな暮らしをして参ったとも申せませんわ。私どもは今しがた、お邸《やしき》の部屋から出て参りましたの。ちょうど奥様がジャムをたくさん煮て、浅い鉢に分けていらしたので、私どもはふたの下へもぐり込んで、どっさりちょうだいしましたわ。私どもは何の不足もございません。お母さんはジャムに脚をとられてし
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