ち》そうな目に遭《あ》おうも知《しれ》ぬ。随分|生皮《いきがわ》も剥《はが》れよう、傷《て》を負うた脚《あし》を火炙《ひあぶり》にもされよう……それしきは未《まだ》な事、こういう事にかけては頗る思付の好《い》い渠奴等《きゃつら》の事、如何《どん》な事をするか知《しれ》たものでない。渠奴等《きゃつら》の手に掛って弄殺《なぶりごろ》しにされようより、此処でこうして死だ方が寧《いっ》そ勝《まし》か。とはいうものの、もしひょッと是が味方であったら? えい山査子奴《さんざしめ》がいけ邪魔な! 何だと云ってこう隙間なく垣のように生えくさった? 是に遮《さえぎ》られて何も見えぬ。でも嬉やたった一ヵ所窓のように枝が透《す》いて遠く低地《ひくち》を見下される所がある。あの低地《ひくち》には慥《たし》か小川があって戦争|前《ぜん》に其水を飲だ筈。そう云えばソレ彼処《あすこ》に橋代《はしがわり》に架《わた》した大きな砂岩石《さがんせき》の板石《ばんじゃく》も見える。多分是を渡るであろう。もう話声も聞えぬ。何国《どこ》の語《ご》で話ていたか、薩張《さっぱり》聴分られなかったが、耳さえ今は遠くなったか。己《おの
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