中村弥左衛門君に献じます。君の霊の天にありて安からんことを祈ります。
大正十四年(一九二五年)二月二十四日
[#24字下げ]東京市外柏木において
[#32字下げ]内 村 鑑 三
[#改頁]
[#割書]夏期演説[#割書終わり] 後世への最大遺物
第 一 回
時は夏でございますし、処《ところ》は山の絶頂でございます。それでここで私が手を振り足を飛ばしまして私の血に熱度を加えて、諸君の熱血をここに注ぎ出すことはあるいは私にできないことではないかも知れません、しかしこれは私の好まぬところ、また諸君もあまり要求しないところだろうと私は考えます。それでキリスト教の演説会で演説者が腰を掛けて話をするのはたぶんこの講師が嚆矢《こうし》であるかも知れない(満場大笑)、しかしながらもしこうすることが私の目的に適《かな》うことでございますれば、私は先例を破ってここであなたがたとゆっくり腰を掛けてお話をしてもかまわないと思います。これもまた破壊党の所業だと思《おぼ》し召されてもよろしゅうございます(拍手喝采)。
そこで私は「後世への最大遺物」という題を掲げておきました。もしこのこ
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