つけて死んでしまった。それゆえに、今でもメソジストの教師でも、監督教会の教師でも、組合教会の教師でも、この孤児院にははいることはお気の毒でございますけれどもできませぬ(大笑)。そのほかは誰でもそこにはいることができる。それでこの孤児院の組織のことは長いことでございますから、今ここにお話し申しませぬけれども、前に述べた二百万ドルをもって買い集めましたところの山です。それが今日のペンシルバニア州における石炭と鉄とを出す山でございます。実に今日の富はほとんど何千万ドルであるかわからない。今はどれだけ事業を拡張してもよい、ただただ拡張する人がいないだけです。それでもし諸君のうち、フィラデルフィアに往く方があれば、一番にまずこの孤児院を往って見ることをお勧め申します。
また有名なる慈善家ピーボディーはいかにして彼の大業を成したかと申しまするに、彼が初めてベルモントの山から出るときには、ボストンに出て大金持ちになろうという希望を持っておったのでございます。彼は一文なしで故郷を出てきました。それでボストンまではその時分はもちろん汽車はありませんし、また馬車があっても無銭《ただ》では乗れませぬから、
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